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 曲線C : f(x, y)=0が提示されたとき,式f(x, y)=0の微分を作ればこの曲線に接線を引くことができます.関数z=f(x, y)に対して微分計算を実行すると,
   dz=Adx+Bdy
という形の等式が手に入ります.ここで,A, Bはそれぞれ関数fのx, yに関する偏微分係数A=∂f/∂x,B= A=∂f/∂yです.曲線C上ではf(x, y)=0ですから,dz=0.すなわち,
   Adx+Bdy=0
という等式が得られますが,これは曲線Cの接線の極小部分の方程式にほかなりません.もう少し具体的に表記すると,曲線C上の点P=(a, b)において接線を引きたいのであれば,点Pを頂点のひとつとし,dxとdyを直角を挟む二辺とする無限に小さい直角三角形を描くと,その三角形の斜辺は,点Pにおける接線の無限に小さい断片になります.それを限りなく延長してできる直線が接線ですから,接線上の任意の点を(x, y)で表すとき,比例式
  dx : dy=x-a : y-b
が成立します.そこで,上記の等式Adx+Bdy=0においてdx, dyをそれぞれx-a, y-bに置き換えれば,等式
  A(x-a)+B(y-b)=0
が得られます.これが,点Pにおける曲線Cの接線の方程式です.簡単な一例として多項式f(x, y)=x^2+y^2-1を考えると,曲線C : f(x, y)=0は単位円周になりますが,この場合,A=2x, B=2yですから,この円の上の任意の一点P=(a, b)における接線の方程式は
  2a(x-a)+2b(y-b)=0
となります.両辺を2で割り,等式a^2+b^2=1に留意して形を整えると,
  ax+by=1
というきれいな形になります.
 この接線法は関数f(x, y)がどのようなものであっても有効ですが,関数f(x, y)は微分可能でなければなりません.そうでなければ接線の方程式の係数AとBが定まらないのですが,たとえ微分可能であってもAとBが同時に0になる点においては,接線の方程式は0=0という意味のない式になってしまい,やはり接線は定まりません.そのような点では接線が存在しないのです.
 関数f(x, y)が微分可能で,AとBが同時に0になることのない点ではつねに接線が存在し,接線の方程式を書き下すことができますが,関数f(x, y)をどのようなものとして認識するのかという点は大きく残ります.ライプニッツやベルヌーイ兄弟やオイラーでしたら,彼らの眼前にある多種多様な曲線の各々に接線を引きたいと望む限り,式f(x, y)を個別に設定すればよいのですから,関数とは何かという観念的な問いはそれほど大きな問題にはならず,オイラーがそうしたように,「解析的な式」として,しかも解析的な式というものの定義は欠如したままの状態で,関数を考えておけば十分なのではないかと思います.ですが,さらに一般的な関数概念が要請されるようになると,微分可能性の問題は大きな論点になってきます.
 関数f(x, y)の形を限定して,曲線の方程式が
  y-f(x)=0
という形で与えられる場合を考えると,高校ではじめて微積分に接したとき以来のおなじみの接線問題が現れます.ここでf(x)はxの関数ですから,曲線Cはこの関数のグラフにほかなりません.f(x)としてフーリエの「まったく任意の関数」やディリクレの関数を採用すると,曲線Cの形状はにわかに不安定になり,はたして接線が存在するのかどうか,不透明な状勢に逢着します.

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