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関数という言葉それ自体はライプニッツの諸論文の中にすでに見受けられますが,関数とはこのようなものである,あるいは,かくかくしかじかのものを考えて,それを関数と呼ぶ,という一般性のある形の定義を表明した一番はじめの人はオイラーです.オイラーの作品『無限解析序説』(全2巻)の巻1は関数を主題にしていますが,冒頭の第1章は「関数に関する一般的な事柄」と題されていて,関数の概念規定から説き起こされています.それは「解析的式」としての関数です.ではありますが,オイラーの無限解析の対象はあくまでも変化量であり,関数を微分したり積分してりすることはありません.解析的式というのは,いくつかの変化量といくつかの定量を素材にして何らかの仕方で組み立てられた変化量であるというのがオイラーの定義なのですから,オイラーのいう解析的式は,既知の変化量から新たな変化量を作り出すための手立てであり,解析的式としての関数は変化量の世界の中に生きて働いているのでした.
 『無限解析序説』のころのオイラーの数学的関心は曲線を理解することにあり,この点では半世紀前のロピタルと同じです.ロピタルが微分するのもまたいつも変化量でした.
 オイラーは他の二つの関数概念を提案し,次第に変化量の世界から離れていきました.オイラーに続いて関数概念を提案した人を回想すると,まずラグランジュ,次にフーリエ,それからコーシーの名が心に浮かびます.コーシーの『解析教程』の第1章「実関数」の§1「関数についての一般的考察」は関数の定義から始まりますが,こんなふうに表明されています.

《いくつかの変化量が互いに関係をもち,これらの変化量のひとつの値が与えられると,他のすべての変化量の値がそこから導かれるという状勢が認められるとき,通常,いろいろな変化量がそれらの一つを用いて表されている情景が心に描かれる.この場合,そのひとつの変化量は独立変化量と呼ばれる.そして,独立変化量によって表される他の諸量は,この変化量の関数と呼ばれるものである.》
《いくつかの変化量が互いに関係をもち,それらのうちいくつかの変化量の値が与えられると,他のすべての変化量の値がそこから導かれるという状勢が認められるとき,いろいろな変化量がそれらのうちのいくつかを用いて表される情景が心に描かれる.この場合,それらのいくつかの変化量は独立変化量と呼ばれる.そして,独立変化量によって表される残る諸量は,これらの変化量の関数と呼ばれるものである.》

これがコーシーによる関数の定義です.眼目は,いくつかの変化量の相互依存関係に着目するところにありますが,そのようなものでしたらオイラーもまた提案しています(オイラーの第二の関数).コーシーはオイラーを学んだのでしょう.
 コーシーの定義それ自体を包んでいるのは依然として変化量の世界です.量の世界を脱却して数の世界に移り,相互依存関係というものだけを抽出して継承すれば,そのままグルサの関数に変容するのではないかと思います.動的なイメージのある変化量から静的なイメージの数への移行して,変数という,いかにも変化するかのようなイメージをかもす言葉のみは残りましたが,実際には変数はもう変化しないのは既述の通りです.
 関数概念を語った人として,コーシーの前にフーリエがいて,コーシーの後にディリクレとリーマンがいます.リーマンについては多少紹介しましたが,話を先に進める前にフーリエとディリクレの関数を振り返っておきたいと思います.

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