Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://reuler.blog108.fc2.com/tb.php/2505-5a86dd00
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

新数学人集団(SSS)の時代 ノート58 ヒルベルトのように

倉田先生は日本の数学の現状を危機と見ている模様です。

・例によって危機は、わが国にあっては、二重に耐えがたく現れる。たとえば古典の伝統の不足のため、アメリカ留学または本格的帰化のため、・・・。
・しかし、われわれは高木整数論の貴重な伝統、科学的数学史の伝統(小倉金之助とその弟子たち)、果敢な民主主義的教育運動の伝統をもっている。特に最近では、静間、遠山氏らは小倉氏の伝統を継ぎつつも、数学そのものに関しての、大きな、根本的な内容豊富な問題を提供しつつある。
・他方、アカデミーの先鋭分子は、明確な目標と問題を持っており、古典の名誉の回復が次の段階への移行にあたって演じる役割を知っているし、フォーマリズムに事実上反対している。だから、現在、危機に対して、勇敢な野党派とアカデミーのすぐれた科学者との連合が可能となってきた。

 日本では数学の危機は二重に現れるとのこと。ひとつは古典の伝統の不足のためというのですが、もともと西欧近代の数学を学んでいるのですから、伝統は不足というよりもむしろ存在しないというべきなのかもしれません。それでも数学研究の方面では高木貞治先生の類体論があり、数学史の方面には小倉金之助の研究がありますから、伝統の基盤は形成されていると見ているように思います。
 危機のもうひとつの面は数学者たちが次々とアメリカに行ってしまうことのようですが、この問題はSSSでは重要な問題と見られていたようで、『月報』誌上でしばしば取り上げられています。ところが、他方では「アカデミーの先鋭分子」や「勇敢な野党派」という人びとが存在するとのこと。具体的にはどのような人たちを指しているのでしょうか。
このような認識に基づいて、危機に対する対処法が提案されました。

・ヒルベルトがそうであったように、語り合い、討論の広場を各所に作ること。
・ヒルベルトがそうであったように、共通のできるだけ広く、大きな問題目標をだいたんに提供しなければならない。
・ヒルベルトのように、古典の正しい理解を深め、安易なフォルマリズムに反対しないわけにはいかないし、科学の相対的独自性の過小評価に反対しないわけにはいかない。
・特に応用偏重主義に反対しなければならない。というのは、むろん、ヒルベルトがそうであったように、応用を正しく評価すべきだ。だが、他方、植民地になってから生じたひとつの新しい傾向は、成果を急ぐ卑俗な実用主義であり、それは不毛の抽象癖とともに、アメリカ経験主義の双生児であり、特に無内容な点で瓜二つの双生児なのだから。
・最後に、われわれの時代は、ヒルベルトの時代よりも、「問題」にせよ、概念にせよ、計算にせよ、ひどく込み入ってきた。ヒルベルトがそうであったようにではなく、集約された概念の各発達段階、対象の質の性格についての深い、大規模な理解が要求されている。これに対してわれわれは、たとえば物理学などに比べて立ち遅れている。このことの達成は伝統の不足をカバーするだろう。

 「成果を急ぐ卑俗な実用主義」と「不毛の抽象癖」はアメリカ経験主義の双生児と言われています。倉田先生はこれを批判して、「ヒルベルトのように」という言葉を繰り返しました。正確な認識と思いますが、倉田先生のいう「アメリカ経験主義の双生児」は60年余ののちの今も猛威を振っています。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://reuler.blog108.fc2.com/tb.php/2505-5a86dd00
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Extra

プロフィール

オイラー研究所の所長です

Author:オイラー研究所の所長です
FC2ブログへようこそ!
オイラーを研究して40年。所員募集中。
オイラー生誕300年を期して熱くオイラーを語り合いましょう。
西暦2011年は岡潔先生の生誕110年の節目の年です。
西暦2013年は岡潔先生のエッセイ集『春宵十話』が刊行されてから50年目の節目です。

最近の記事

FC2カウンター

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。