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新数学人集団(SSS)の時代 ノート55 ヒルベルトの現代的意義

SSSは「数学とは何か」という問いにこだわっていましたが、この問題は「少数精鋭主義」に抗する心情と関係がありそうに思います。数学の真理というものがどこかにあって、それを見つけるのが数学者の仕事と思うと、少数精鋭主義で対処するのがよさそうに見えないこともありません。数学には未解決の難問もあり、たとえば素数分布に関する「リーマンの予想」などの解決に取り組むというのであれば、たいていの人には解けないのですからやってもむだで、少数の精鋭にまかせておけばよいではないかという主張が成立しそうです。数学の研究というのはそのようなものであろうと、広く考えられているようにも思われます。
ですが、数学の問題はどこからやってくるのでしょうか。このあたりが数学の不思議なところで、容易に答えることのできない神秘が秘められています。リーマンがいなくても「リーマンの予想」はありえたのでしょうか。「リーマンの予想」は、それ自体がリーマンに固有の創造物なのでしょうか。数学を「創造する学問」と見ると、少数精鋭主義は無意味になりそうです。創造する心をもつ少数者を、前もって選定することはできないからです。
数学とは何かという問いに対するSSSの考えが表明されている記事に、「ヒルベルトの現代的意義」というのがあります。「月報」第4号に掲載されました。副題は「パリ講演について」。第3回科学史および科学方法論研究サークル連合シンポジウムにおける新数学人集団の報告の要旨という説明が附されています。
 科学史および科学方法論研究サークル連合というのは、東京の各大学の科学史、科学方法論に興味をもつサークルが集まって、十数もの団体で組織された団体で、日本科学史学会の主催で半年に一回、連合シンポジウムを開催していた模様です。1953年6月に第2回目のシンポジウムが行われ、SSSもこれに加わり、「日本近代数学史」という報告を行いました。第3回目のシンポジウムは同年11月29日に東大で開催されました。約100名の聴衆が集まりました。報告は計九つ。15分の報告に15分の討論が附随しました。
「ヒルベルトの現代的意義」は「月報」に掲載されたときは著者名のない記事だったのですが、後に倉田令二朗先生と判明しました。以下、摘記してみます。

・新数学人集団は、すうがくについての正しい学習方針を立てるために、「数学者」としてのヒルベルトの見解を研究することが必要であると考えた。すでに各自の研究を進めている若干の人びといよって、1900年のパリ講演の翻訳と検討が、現代数学の課題と照らして試みられ始めた。それは後に述べるように、現代数学のいくつかの好ましくない傾向を克服する上に一定の役割を果すことを示した。

 書き出しの時点で早くも、現代数学には好ましくない傾向が見られると指摘されました。

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