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新数学人集団(SSS)の時代 ノート35 「目覚めた少数精鋭」とは

ヴェイユへの手紙を続けます。

・SSSはこれらのすべての悪い傾向を克服し、日本の数学を正しい方向に沿って発展させるために生れた。そのためSSSは失業研究者、未来を保証されない学生、および若干の先進的な少数精鋭によって組織されている。

 ここのところに、失業研究者と未来を保証されない学生を総称してボロボロと呼ぶと言い添えられています。そうしてみるとSSSのめざす日本の数学が歩むべき正しい方向というのは、ボロボロと称される数学徒たちが安心して数学研究に打ち込むことのできる状態をめざすということになるのでしょうか。「若干の先進的な少数精鋭」の中には谷山さんはもとより入っていると思いますが、ほかにも何人か思い当ります。

・ここではっきり知っておいてもらいたいことがある。信じられないほどの生活上の困難と研究の困難で、SSSのボロボロは決して自棄(やけ)になったり失望したりはせず、協力して数学研究を続けている。さらに、日本の数学の正しい発展のためには、目覚めた少数精鋭とボロボロとの協力が自然でもあり、必要でもある。なぜならボロボロは徹底的に、決して妥協することなく、従来の悪い傾向に反対して闘うことができるし、先進的な少数精鋭の協力が、それを成功させるからである。

 このあたりは少々わかりにくいところです。SSSは少数精鋭主義に反対の立場を堅持してきたという印象があるのですが、「目覚めた少数精鋭」はボロボロと協力するのが自然であり、必要でもあるとのこと。そうすると少数精鋭は「目覚めた少数精鋭」と「目覚めていない少数精鋭」に二分され、SSSには「目覚めた少数精鋭」がいるから大丈夫だと言われているように思います。この二分の基準はどのあたりに設定されているのでしょうか。

・あなたがこれまで話し合ったSSSの会員はすべて目覚めた少数精鋭である。したがってSSSにおけるボロボロの存在とその役割について聞くのはこれがはじめてと思う。
・今度の会合では研究の組織や体制の問題についてもぜひ討論したい。SSSではグループによる協同研究の組織と体制を整えるということが当面の重要な課題になっている。この点に関しては、ブルバキのゼミナールや討論の持ち方についてあなたから聞くことが大きな利益をもたらすと期待している。たとえば、数論グループの谷山は「ヴェイユと話して、アイデアの討論が可能であることを知った」と言っている。今後、「アイデアの討論」がグループ研究の最高の目標となるであろうが、その点ではあなたに深く感謝しなければならない。
・ブルバキと違う点は、SSSのグループ研究の目的が単に数学上の研究成果をあげるということのほかに、ボロボロの自衛組織として役立つこと、ボロボロと精鋭との相互の理解を深める場となること、たえず若い人たちを吸収して、それを育てていくという教育的目的をもっていることを知っておいてほしい。

ヴェイユへの手紙は「日本の数学およびSSSに対する忠告を聞くことができれば非常にうれしい」という言葉で終っています。

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