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新数学人集団(SSS)の時代 ノート34 数学の才能とは

共鳴箱の理論に続いて、ヴェイユは数学の才能について語りました。

ヴェイユ
数学には天才というものは確かにある。ガウスをみたまえ。ガロア、アーベルをみたまえ。数学者として生れついている人というのはあるのだ。そんな人が数学者にならないことはもちろんあるが、そうでない人が数学者になることはない。
 もちろん才能のない数学者は多い。数学が非常に好きで、よく勉強してもいっこうにできない人もある。
 しかし解決がないわけではない。私の友人の・・・(カヴァリエーとか言ったが記憶不正確)は数学が非常に好きだったが、たいしたことはできなかった。しかし途中から数学史に転向し、その領域ではいろいろよい仕事をしている。彼は自分の解答を見出だしたわけだ。・・・
SSS
日本では才能があっても伸びないことも多い。第一、先生がいない。みなアメリカへ行ってしまう。われわれにとっては大きな問題だ。次に、先生がいたとしても、われわれに何を読むべきか、古典が何であるかさえも教えてくれない。みな自分で発見しなければならないのだ。
ヴェイユ
私の若いころもちょうどそれと同じだった。私がアーベル関数を始めたとき、フランスにはまともにテータ関数を知っている人さえひとりもいなかったので、自分でいろいろな文献を見出ださなければならなかった。今ではフランスにはSSSができて(ブルバキのことか?)old SSSがyoung SSSに教えるようになったが、最初フランスで始めたときは君たちと同じ事情だったのだ。
SSS
たとえば私は代数関数論をワイルのリーマン面(註。ワイルの著作『リーマン面のイデー』のこと)から勉強し始めたのだが、あれにはテータ関数が書いてないので、リーマンを読むまでヤコビの逆問題の意味を誤解していた。
ヴェイユ
リーマンから始めるべきだ。私はリーマンから始めたので誤解しなかった。

 指導者がいないとSSSが訴えかけると、自分も若いころはそうだったとヴェイユが応じました。指導者がいなければひとりでやればいいではないかと言わんばかりの発言で、このあたりのSSSの心情は伝わらなかったのでしょう。
 SSSはヴェイユとの座談会を企画していて、その日は10月22日の土曜日と予定されていました。それに先立って、日本数学界の特殊事情を多少知っておいてもらうほうがよいと対策委員会が判断し、ヴェイユに宛てて一通の手紙を書くことになりました。手分けして翻訳し、タイプになぐり打ちしてできあがったのは座談会の前日21日の午後10時でした。ただちにホテルに届けましたが、ヴェイユはまだ外出中でした。
 手紙の要旨を摘記します。

・日本では経済的理由と、研究者としても地位が非常に少ないことのために、研究を続けることのできる人は非常に少ない。一方、研究を志す人の数は、それに比べると相対的に非常に多い。従って、幸いにチャンスを得た若干の人たちを除くと、大部分は失業するか、あるいは研究を断念して別の職につくことになる。
・チャンスを与える権利を握っている教授層は古い固定観念にとりつかれた、高度に保守的な人びとの集まりである。この古い観念が少数精鋭主義と呼ばれるものである。これは多くのよくない傾向と結果を生んできた。

 ヴェイユを相手に日本における数学研究の状況を訴えかけるSSSの言葉が続きます。

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