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新数学人集団(SSS)の時代 ノート31 ガウスのように

『月報』第3巻、第3号の記事「A.Weilに接して」にはSSSとヴェイユとの交流の模様が詳しく再現されていますので、一読してみたいと思います。IからVまで、五つの節分れています。第I節の小見出しは「フジホテル」にて。10月10日の夜、SSSの3人のメンバーK、S、Yがヴェイユを訪問したときの記録です。訪問者の実名はわかりません。以下、筆写します。

ヴェイユ
日本人の数学を見ていて特に感ずることがある。日本人には、先輩や目上の人に従うように要求する習慣があるのか。
SSS
戦前、戦争中は特にそうだった。日本人のモラルの中心でさえあった。われわれも小学校以来盛んにたたきこまれた。
ヴェイユ
時に数学では、若い人びとに、手軽にできることをやり、あまり大きいことには手をつけないようにすすめる習慣があるのか。自分の考えを押し出さず、偉い人の思想圏内で仕事をするほうが安全だと忠告する習慣があるのか。
SSS
だいたいそうだ。
ヴェイユ
日本で本当に独創的な研究を始める人は少なかった。岩澤(健吉)はその少ないひとりだが、一方小平(邦彦)は非常によくできるにもかかわらず、私やレフシェッツ、ホッジなどの仕事を完成するようなことしか手を出さなかった。ごく最近、やっと彼自身の考えに基づく研究が出始めた。もっともっこれは岩澤が小平よりすぐれた数学者だという意味ではない。私の言いたいのは、小平のようにすばらしい数学者が、自分のアイデアを見出だすのにこんなにも遅れたことで、これはまさに驚くべきことだ。
 しかし、戦後、日本の若い人の間に、自分のアイデアを持って始めようとする者が増えてきた。特に君たちはみな高みをねらっているが、日本でこのような傾向ができたのはごく最近のことで、非常によいことだ。
 とにかくも自分のアイデアを持って始めるように。ガウスはそうだった。君たちもガウスのように始めろ。そうすればまもなく君たちは自分がガウスではないことを発見するだろうが、それでもよい。とにかくガウスのようにやれ。
 モラルを変えるのはたいへんだが、数学のやり方を変えるだけならそれほどむずかしくはないだろう。

 「ガウスのように始めよ」と、おそるべき言葉をヴェイユは3人のSSSに語り掛けました。「ガウスのように」とはどのようなことなのか、具体的なことはまだわかりません。

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