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新数学人集団(SSS)の時代 ノート27 傍聴者問題について

ここまでのところで会議の出席者と日程のおおよそが判明しましたが、出席者の名簿を見ると新数学人集団のメンバーはごくわずかです。出席した諸先生も招待された人と傍聴を許された人とに区分けされていて、このくべつはどのような基準でなされたのかもまだ不明です。会議の中味を見ると講演と報告が続くばかりで、議論や質疑応答が行われた様子は見られません。それにもかかわらず新数学人集団は積極的に関与しようと試みたようで、現に『月報』誌上で長大な特集を組んでいます。
 特集記事のひとつに「傍聴者問題について」という投書があります。著者は「H」と記されているのみで、実名はわかりませんが、全体に批判的な調子に覆われています。以下、摘記します。

・今度のシンポジウムに傍聴者として出席したが、不当、不快を感じたので投書する。
・はじめの話では、今度のシンポジウムでは野次馬を入れないで、数学のよくわかる人たちで落ち着いてやろうということだったが、まったく落ち着いた会議だった。討論などはまったくなく、儀式のような講演が次々と行われた。たしかにこのような落ち着いた会議を実現させるためには、質問や討論の好きな野次馬どもは出席させないほうがよいにちがいない。数論を知らず、微笑ともったいぶったことの好きな連中を並べておくのが良策だ。
・どう見ても数論の専門家に見えない出席者がいた。他方では、数論を志していながら出席はおろか、傍聴からも締め出された人もたくさんいた。田舎で数学を教え、研究している人たちが傍聴を拒否された。だが、これらの人たちこそ、日本の数学を支えている土台なのではないか。これらの人たちにとって、この会議に出席することは数学をやるエネルギーのひとつの源泉になりうるのではないか。これらの人たちが、会場で写真を撮ることに専念していたあの出席者より騒がしいとでもいうのか。
・傍聴者の待遇はよくなかった。演壇ははるかかなたにあり、しばしば聴き取りにくかった。傍聴者の席はしぶしぶ設けたという感じを受けた。
・今度のシンポジウムは少数の特権者以外の人が虐待を受けたことはまぎれもない。

 これによると、出席者とみなされるのは招待された人だけで、傍聴者は附録のような扱いだったという印象があります。「田舎」というのは「東京以外」という意味と思います。写真撮影に専念していた人というのはだれのことなのか、わかりません。
 もうひとつ、「IMU・ボロボロ数学生の印象」という長文の記事があります。著者名は記されていませんが、われわれはシンポジウムに招待されなかったことはもとより傍聴も許されなかった連中だということが冒頭に書かれているところをみると、いろいろなうわさ話を収集して書き並べた一文のように思います。「ボロボロ数学生」というのは意味がよくわかりませんが、新数学人集団のメンバーの自称です。
 小見出しを立てて記述されていて、最初は「Super-Bourbaki」。「会議を通じて最も傍若無人に振舞ったのはSSSとブルバキだった」と書き始められています。新数学人集団のメンバーの中からは谷山さんと志村五郎先生が出席していて(この両名のほかにもいるかもしれませんが、はっきりしたことはまだわかりません)、虚数乗法論に関する重大な報告を行いました。それを受けて、ヴェイユは「谷山、志村の研究と俺の研究によって虚数乗法の一般化はほぼ完全となった」と言ったそうです。ただし、だれに向って語ったのか、詳細は不明です。
 SSSのメンバーはたいていは出席も傍聴もできなかったようですが、出席もしくは聴講した人も何人かいて、その人たちがいわばSSSを代表して会場で活動しました。9月7日のビアパーティのおりに「怪しげな紙に英訳タイプした月報の抜粋」を配り歩いたところ、外人数学者たちは異常な関心を示し始めたそうで、それを見た東大助教授のT.T.先生は「いやないたずらしますねえ」と横目でつぶやいたのだそうです。
 T.T.先生は会議が終るとすぐにアメリカに無期限留学したということですが、思い当る人はひとりしかいません。

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